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「らうん」とは僕がかつて暮らしたパプアの言葉で「旅する・ぶらぶらする」という意味です。光を描く画家、八坂圭が日々を見つめ、愛し、感じた事を福岡からつづっています。


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美術商の百年 「大いなる遺産 美の伝統展」

昨日の朝、出勤をすこし遅らせて、9時開場の美術展にいって来ました。

出勤を遅らせたから、というわけではないのですが、そのまま今朝に至るまで、デスクに結ばれてました。
でも、作朝の良い気分のせいか、疲れはさほどではありません。(あとからくるんですよね、徹夜の疲労って)

質の高い美術には、人を気分だけでなく、癒やす力がある。僕は本気でそうおもっています。

見たかったのは、仁清の藤壺だったのですが、国宝コーナーは入れ替え展示で、ちょうど終わったとこでした。

さすがに月曜の9時から来る人はすくなく、静かにゆっくり見る事がてきました。知られざる近代の名品というテーマの最初の部屋。絹本の掛軸が何幅も出迎えてくれます。これはと思う名品ばかり。深窓の令嬢が一座に会し、その集いに招き入れてもらえたような、気の引き締まる思いがしました。

幾つかの作品の後、竹内栖鳳の「水郷」という作品の前に止まり、おもわず口から「すごい、すごい!」と音に出してしまいました。
いや、正に宝が溢れていました。川合玉堂や福田平八郎など、愛すべき日本画の先人たちの名品が続きます。

これらを愛した、長者たちと、それぞれの作品の持つ良さを分けあって、共感すべきを目の前にして、時空を超えた対話がなされるようです。

麗子像や高村光太郎の伝説的傑作を目の前にみて、次の部屋は国宝重文などの陶器・屏風の間になります。
延髄に電気が走るような、微妙な青磁の色と変化。何色とも呼べない白磁の深い温もり。部屋の右手がわにならんだ磁器たちは、多くが宋の時代のもの。

中国と朝鮮半島からこの国へつたわり、多くのコレクターの手をへて、いまここにいる。作品たちが辿ってきた、所有者たちの心の道程の先に僕ら鑑賞者がいます。これら貴い器をとおして、その道程から見えた時空の景色をも僕らに届けてくれるようです。

国宝はまたその中でも仕切られた部屋にあり、出色は源氏物語絵巻でした。

まさに、百年を一気に旅したような、素晴らしい展示でした。

生涯の思い出になる予感がしました。
by toktokpng | 2006-02-21 05:40