「らうん」とは僕がかつて暮らしたパプアの言葉で「旅する・ぶらぶらする」という意味です。光を描く画家、八坂圭が日々を見つめ、愛し、感じた事を福岡からつづっています。


by toktokpng
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

ながあめ

d0023742_633810.jpg


随分昔に、天声人語で読んだのだと思う。「眺める」の語源は「ながあめる」、つまりずっと降る雨を家の中からじっと見てる様子から、無心に何かを長い時間見る事の意味が出来たと言う説があるらしい。

関東地方も昨日梅雨入りした。たくさん降ってこの国の潤いを取り戻して欲しい。

天声人語の仮説は、それからずっと僕の心に残っていて、ながあめの時期に活動を停止して霞んだ視線の先をじっと見据えるだけの、平安人のような一日を持ってみたい物だと思っていた。

その望みはパプアニューギニアの村で叶えられた。
高床式の小屋から、兄弟・ガブリエルと共に強く打ち付ける雨を見ていた。
その下の弟のチャールズが引っ切りなしのおしゃべりを止めた時、僕ら三人はただただ雨で煙る沖合の海とシアシ島を「ながあめ」ていた。
聞こえてくるのはパンダナスの葉で葺いた屋根に打ち付ける雨の音だけ。
しばらく、そんな時間を僕ら兄弟は共有した。

「ながあめる」と、無心になって前後の時空を見渡せるようになる気がする。
時間の前後。場所の周辺。

雨のなか、無理に活動しようとしないでいると、活動するより、いっそう多くの事を得られる時があると思う。

今日の絵は、そんな長雨をもたらす空の精霊を捉えようとしている。

これからしばらく、雨を楽しもう。
[PR]
by toktokpng | 2007-06-15 06:48 | 創作